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目次
低用量ピル(避妊用ピル)とは〜効果・効能〜
「低用量ピル」は経口避妊薬のことで、女性が毎日服用することで高い避妊効果が期待できます。1960年から世界中の女性に使用されており、信頼性の高い避妊方法といえます。
ピルには避妊以外にもさまざまな効果や効能があるため、目的に合わせて使用される方も多いです。まずは低用量ピルの効果・効能について見ていきましょう。
避妊
低用量ピルには排卵を抑制する働きがあるため、毎日服用することで高い避妊効果を期待できます。排卵がなくなると子宮内膜が変化し、受精卵が着床しにくくなることで妊娠しにくい身体になるのです。また、精子が子宮内に侵入するのを妨げる働きもあるため、避妊効果が高いと考えられています。なお、低用量ピルを正しく使用した場合の避妊率は「99.7%」です。コンドームを正しく使用した場合の避妊率は98%のため、コンドームよりも高い避妊率となります。より確実な避妊方法を探している方におすすめの方法です。
避妊効果 |
使用者全体での避妊効果 |
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低用量ピル |
99.7% |
92% |
コンドーム |
98% |
85% |
月経不順(生理不順)の改善
月経不順(生理不順)は女性ホルモンのバランスが崩れることで起こりますが、低用量ピルの服用によってホルモンバランスを整えることができます。その結果、月経周期が安定し月経不順の改善にも繋がるのです。
生理痛(月経痛)の改善
女性の体では毎月1回卵巣から卵子が排出(排卵)されます。それと同時に子宮内膜が厚くなり、受精卵が着床する体制を整え妊娠に備えているのです。
しかし、受精卵が着床しなければ子宮内膜が不要になるので、血液とともに体外に排出されます。これが生理の仕組みです。
プロスタグランジンという物質が子宮の収縮を促進し子宮内膜が体外へ排出されますが、プロスタグランジンの分泌量が多すぎると収縮が強くなりすぎてしまい、お腹や腰の痛みに繋がります。これが生理痛が起こる仕組みです。生理痛は個人差が大きいですが、中には日常生活が困難になるほど重い方もいらっしゃいます。
このようなケースで低用量ピルを服用すると、子宮内膜が薄くなり経血量が減るとともに、プロスタグランジンの分泌量も減少するため、痛みを軽減する効果が期待できます。痛みの改善だけでなく、経血量が減るのは女性にとってさまざまな負担が減るため大きなメリットといえるでしょう。
PMSの改善
PMSとは月経前症候群のことで、イライラ・頭痛・腹痛・倦怠感・抑うつなどの精神的・身体的症状が月経開始前の数日間続きます。PMSは女性ホルモンの変化によって起こると考えられており、多くの女性が悩んでいる症状です。
低用量ピルを服用することで女性ホルモンが安定するため、PMSの症状を緩和したり改善したりする効果が期待できます。
卵巣がん・子宮体がんの予防
低用量ピルを長期間服用することで、卵巣がん・子宮体がん・大腸がんの発症リスクを軽減できるといわれています。これは低用量ピルの排卵抑制作用が関係していると考えられています。
子宮内膜症の緩和
子宮内膜の組織が子宮以外の場所(卵巣や卵管など)に発生してしまうのが子宮内膜症です。通常子宮内膜は月経によって体外に排出されますが、子宮以外に発生した子宮内膜の組織は体外に排出されず、放置していると徐々に増大してしまいます。子宮内膜症を発症すると、生理痛や腰痛、骨盤痛が起こり、生理以外の時期でも下腹部痛などが起こります。
低用量ピルは排卵を抑制するため子宮内膜が厚くなりません。子宮内膜が厚くならないことで子宮内膜症の症状を軽減でき、さらには予防効果も見込まれるのです。
生理日をずらす
低用量ピルを服用することで生理を早めることができます。
<生理を早める>
①イベントなどと重なる生理(ずらしたい生理)の1つ前の生理開始から5日目までに低用量ピルを服用する
②10日~14日服用を続ける
③低用量ピルの服用終了から2~3日後に生理が来る
生理を早める場合はずらしたい生理の1つ前の生理のタイミングで低用量ピルの服用を始める必要があるため、早めにスケジュールを把握しておくことが重要です。
また、生理を遅らせる方法もありますが、その場合には中用量ピルが使用されます。
<生理を遅らせる>
①イベントなどと重なる生理(ずらしたい生理)予定日の5~7日前から中用量ピルを服用する
②服用をやめると2~3日ほどで生理が来る
この方法では最長7日程度生理を遅らせることができます。しかし、個人差があるため中用量ピル服用中に生理が来た場合はすぐに服用を中止しましょう。
低用量ピル(避妊用ピル)の仕組み
生理や排卵は女性ホルモンが周期的に変化することで起こります。排卵を起こすために卵胞ホルモンが増えていき、排卵期を過ぎると黄体ホルモンが分泌されるようになるのです。その後受精卵が着床しやすくなるよう子宮内膜が厚くなり妊娠の準備を行います。
妊娠しなければ卵胞ホルモンと黄体ホルモンは減っていき、不要になった子宮内膜は剥がれ落ちて体外に排出されます。これが生理のメカニズムです。
ピルには卵胞ホルモンと黄体ホルモンが含まれているため、服用することで女性ホルモンを体内に取り込んでいることになります。すると脳は女性ホルモンが分泌されていると勘違いするため、生理や妊娠のコントロールができるのです。
ピルには3種類ある
ピルは「卵胞ホルモン(エストロゲン)」と「黄体ホルモン(プロゲステロン)」の2種類の女性ホルモンを配合した薬です。卵胞ホルモンの量によって低用量ピル・中用量ピルに分けられ、アフターピルは主に黄体ホルモンを主成分としています。
低用量ピル
低用量ピルは卵胞ホルモンの配合量が0.05mgより少ないものを指します。主に避妊目的で使用され「経口避妊薬」「OC(Oral Contraceptives)」と呼ばれることもあります。正しく使用すれば避妊効果は99.7%と大変高いです。
また、避妊目的以外では月経困難症の治療や生理日の移動にも使われており、生理周期の安定化や肌荒れ改善などにも効果が期待できることがわかっています。
中用量ピル
中用量ピルは低用量ピルよりも卵胞ホルモンの配合量が多いお薬です。主に生理不順・過多月経・月経困難症などの治療薬として使用されています。また、生理日を移動させる場合にも中用量ピルが使われます。
アフターピル
アフターピルはプロゲステロンが主成分のお薬です。緊急避妊薬として使用されており、妊娠の可能性がある性交後に服用します。性交後すぐに服用することで高い避妊効果が期待できますが、時間が経つほど避妊効果は下がるため注意が必要です。72時間以内の服用で約84%の避妊効果が期待できるといわれています。
精子の寿命は3~7日ですが、アフターピルの服用後は5~7日排卵が抑制・遅延されるため、精子が受精できずに妊娠を回避するという仕組みです。
低用量ピル(避妊用ピル)のタイプ
低用量ピルは1シートに28錠入っており、そのうちの21錠が有効成分の含まれる実薬、残り7錠がプラセボと呼ばれる成分の含まれていない錠剤で構成されています。(21錠タイプでプラセボが含まれないシートもあります。)
低用量ピルは黄体ホルモンの含有量によって一相性と三相性の2つのタイプに分けられます。
一相性
一相性はプロゲステロンの含有量が、1シート21錠で全て同じになっています。生理期間のコントロールに優れているといわれています。
三相性
三相性は段階的に黄体ホルモンの含有量が増えていく低用量ピルです。自然な生理周期と同様に黄体ホルモンが徐々に増えていくため、より自然な状態に近づき不正出血が起きにくいといわれています。
当院で処方する低用量ピル(避妊用ピル)の種類一覧
低用量ピルは使用されている黄体ホルモンの種類によって5種類に分けられます。特徴や効果が異なるため、患者様の服用の目的や症状に合わせて処方させていただきます。
<第一世代(ノルエチステロン)>
シンフェーズ |
出血量が減りやすいため、避妊だけでなく月経困難症のコントロールにも効果が期待できる |
<第二世代(レボノルゲストレル)>
トリキュラー ラベルフィーユ アンジュ |
不正出血が起こりにくいため、生理周期が安定しやすい |
<第三世代(デソゲストレル)>
マーベロン ファボワール |
ニキビや多毛症の改善にも期待が期待できる |
<第四世代(ドロスピレノン)>
「超低用量ピル」と呼ばれ、避妊効果がないものです。
当院ではお取り扱いがございません。
<ミニピル>
黄体ホルモンのみでできたピルで、低用量ピルを服用できない方に処方されます。
当院ではお取り扱いがございません。
低用量ピル(避妊用ピル)の副作用
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不正出血
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悪心、嘔吐
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めまい
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ふらつき
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頭痛、偏頭痛
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にきび
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むくみ
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太る
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乳房の張り
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血栓症
低用量ピルには上記のような副作用があります。低用量ピルを飲み続けることでホルモンバランスが整い、副作用の症状は改善されることがほとんどです。まずは3ヶ月を目安に服用を続けるようにしましょう。ただし、副作用がひどい、不安を感じるようであれば、処方してもらったクリニックに相談してください。
低用量ピル(避妊用ピル)の飲み方
低用量ピルは正しく服用することで99.7%の避妊効果が期待できますが、正しく服用できていないと避妊効果は下がってしまいます。必ず服用方法を守ってご使用ください。
1日1錠同じ時間に服用
低用量ピルは毎日ほぼ同じ時間に服用する必要があります。
例えば夕食後や就寝前など、ご自身のライフスタイルに合わせて飲む時間を決めておきましょう。
併用に注意が必要な薬
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解熱鎮痛剤(アセトアミノフェン・カロナール):低用量ピルの効果を強め副作用が起こりやすくなる
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抗真菌薬:低用量ピルの効果を強め副作用が起こりやすくなる
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抗てんかん薬、抗結核薬:低用量ピルの効果を弱める可能性がある
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向精神薬(三環系抗うつ薬など):三環系抗うつ薬の作用を強める可能性がある
上記のお薬を服用されている方は、必ず医師に相談してください。
飲み忘れた場合の対処法
<1錠飲み忘れた場合>
飲み忘れに気づいたらすぐに服用し、その後の錠剤は予定通り服用してください。
ただし、飲み忘れたのが第1週目の最初または第3週目の最後あたりの場合は緊急避妊の検討が必要になります。これは、休薬期間が7日以上になると排卵が起こり妊娠の可能性が高くなるといわれているからです。
<2錠以上飲み忘れた場合>
飲み忘れた錠剤のうち直近の錠剤をすぐに服用し、その後は予定通り内服してください。
飲み忘れの時期によって、緊急避妊薬が必要かどうか変わります。
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第1週目の飲み忘れ:休薬期間や第1週目に性交渉があり避妊に失敗した可能性があるは緊急避妊薬(アフターピル)を検討してください。
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第2週目の飲み忘れ:飲み忘れの直前7日間連続で正しく低用量ピルを服用できていれば緊急避妊の必要はありません。7日間連続で正しく服用できていなければ緊急避妊薬(アフターピル)を検討してください。
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第3週目の飲み忘れ:飲み忘れの直前7日間連続で正しく低用量ピルを服用できていれば緊急避妊の必要性は低いです。この場合は休薬期間を作らず、実薬を全て飲み切った翌日から次のシートの服用を開始してください。
避妊用ピル(OC)の施術について
ダウンタイム・副作用・リスク
低用量ピルは血栓症のリスクを高めてしまうため、定期的に血液検査を行う必要があります。また、子宮頸がんや乳がんのリスクも高くなるため、1年に1回程度検査を受けるようにしましょう。
治療後の注意点
低用量ピルの重大な副作用に血栓症があります。血栓症は血管内の血液が固まり、血流を止めてしまう病態です。低用量ピルによる血栓症は主にふくらはぎの静脈に起こり、ふくらはぎや太ももの腫れ、強い痛みが生じます。ただし、血栓症は妊娠中や分娩後にも起こる可能性が高く、それに比べると低用量ピルの服用による血栓症リスクはそれほど高くありません。血栓症の発症リスクは下記をご確認ください。
低用量ピル:10,000人に3〜9人
服用なし:10,000人に1〜5人
妊娠中:10,000人に5〜20人
分娩後12週まで:10,000人に40〜65人
40代後半の方や1日15本以上タバコを吸われる方は、血栓症のリスクが高くなるといわれています。血栓症を防ぐためにも、低用量ピルを服用している方は定期的に問診や検査を受けるようにしてください。
施術を受けられない人
・35歳以上で1日15本以上喫煙している人
・50歳以上
・閉経している人
・血栓症になったことがある人
・家族に血栓症の人がいる、遺伝的に血栓ができやすい体質の人
・光が見えるなどの前兆のある片頭痛がある人
・肺梗塞、脳梗塞、心筋梗塞などの血栓症の既往がある人
・コントロールができていない高血圧・糖尿病・高脂血症がある人
・妊娠中、授乳中の人
施術の流れ
1 来院
問診票に必要事項をご記入ください。
2 診察
医師が診察を行い、目的や症状に合わせて低用量ピルの種類を選択します。
3 処方
低用量ピルを処方します。
料金
メニュー名 | 料金 |
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シンフェーズ | |
トリキュラー | |
ラベルフィーユ | |
アンジュ | |
マーベロン | |
ファボワール |
避妊用ピル(OC)に関するよくある質問
Q 低用量ピルは必ず診察が必要ですか?
A 低用量ピルは血栓症のリスクやさまざまな副作用の可能性があるお薬です。そのため、患者様のお身体の状態やお悩みに合わせて適切な種類を処方する必要があります。診察では医師による問診を行い、必要に応じて血液検査も行います。しっかりと問診や検査をすることで、血栓症などのリスクを抑えることが可能です。また、低用量ピルの服用直後は吐き気や不正出血などの副作用が多く見られますが、基本的には服用を続けることで軽減されます。しかし、中には副作用が強く出てしまう方もいらっしゃいますので、そういった場合には医師にご相談いただくほうが安心です。リスクや副作用を抑えながら安心して服用いただくためにも、低用量ピルはクリニックで診察を受けた上で処方してもらうほうがよいでしょう。
Q 低用量ピルはいつまで飲めばいいですか?
A 低用量ピルはいつでもやめることができます。服用を中止すると1ヶ月ほどで排卵が再開し、元の体の状態に戻ります。生理不順・生理痛・PMSの改善のために低用量ピルを服用していた場合は、服用を中止することで以前のような症状が起こる可能性があるため注意が必要です。また、服用は1シートを飲み切ったタイミングで中断するとよいでしょう。
Q 低用量ピルを服用すると将来妊娠しづらくなりますか?
A 低用量ピルを服用しているからといって、将来妊娠しづらくなるということはありません。基本的には低用量ピルの服用中止から1ヶ月ほどで排卵が戻るため、妊娠することは可能です。また、低用量ピルを服用していた期間も関係ないため安心して服用いただけます。
Q 低用量ピルの服用直後に嘔吐・下痢してしまいました。どうすればよいですか?
A 低用量ピルは服用後2時間ほどで効果を得られるといわれているため、服用直後に嘔吐や下痢をしてしまった場合はすぐに翌日の分を服用してください。低用量ピル服用から2時間以上経過してから嘔吐・下痢してしまった場合は追加で服用する必要はありません。
Q 低用量ピルを服用している人は多いですか?
A 日本での低用量ピルの普及率は2.9%といわれていますが、ヨーロッパやアメリカでは10〜30%となります。低用量ピルは女性が快適に過ごすためにも重要な役割を果たしますが、まだまだ誤った認識が広まっているのも事実です。低用量ピルは正しく服用することで、避妊だけでなく生理痛の緩和や月経過多の改善にも効果が期待できるため、辛い症状のある方は一度ご検討ください。
Q 妊娠していることに気づかずに低用量ピルの服用を続けていました。大丈夫でしょうか?
A 妊娠に気が付かずに低用量ピルを服用していても赤ちゃんへの影響はほとんどありません。しかし、妊娠中の女性が服用する薬ではないため、妊娠が判明したらすぐに使用を中止してください。
Q 消退出血(しょうたいしゅっけつ)とは何のことですか?
A 消退出血は卵胞ホルモンと黄体ホルモンの減少(消退)によって起こる出血です。生理による出血も消退出血の一つとなります。低用量ピル服用中は、休薬期間開始から2日前後で消退出血が起こり、子宮内膜が排出されます。低用量ピル服用中に消退出血が起こらなかった場合は妊娠検査薬を使用してください。
Q 低用量ピルの避妊効果はいつからありますか?
A 低用量ピルは飲み始めて1週間ほどで避妊効果が出るといわれています。服用後1週間はコンドームなど他の避妊方法を検討しましょう。
Q 低用量ピルを飲んでいたら中出し(膣内射精)しても妊娠しませんか?
A 低用量ピル服用中は膣内射精しても避妊率は99.7%となります。そのため、低用量ピル服用中は基本的に妊娠の可能性はほとんどありません。
Q 低用量ピル服用中に生理がこないのはおかしいですか?
A 低用量ピルを服用することで子宮内膜が薄くなり、生理がなくなることがあります。これは正常な現象のため心配は不要です。
Q 低用量ピルは保険適用になりますか?
A 低用量ピルは月経困難症や子宮内膜症の改善を目的とする場合保険適用となります。避妊目的の場合は保険適用となりません。
Q 低用量ピルにデメリットはありますか?
A 低用量ピルは服用を始めると吐き気や眠気などの副作用が生じる可能性があります。しかし、これらの症状は低用量ピルの服用を続けることで緩和されていきます。低用量ピルにはデメリットもありますが、それ以上にメリットの多いお薬です。
Q 低用量ピルとアフターピルは併用しても問題ないですか?
A 基本的には低用量ピルとアフターピルを併用しても問題ありません。